2026年5月|出版業界重大ニュース(国内+海外)
5月は、出版業界にとっては流通インフラの限界が可視化された月でした。日販GHD・トーハンの決算はそろって厳しく、取次事業の赤字はもはや一過性ではなく、構造問題に。同時に、製紙各社の値上げや生産拠点集約が続き、紙の本を「作る」ことも不安定に。その一方で、読者接点めぐる新しい打ち手も目立ちました。紙・動画・音声・直販・翻訳が同時に動いた月だったと言えます。
mizuho furuhata
2026.05.31
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二大取次の巨額赤字
最も重いニュースだったのは、やはり取次の決算です。日販GHDは減収赤字、日販は約20億円の営業損失。トーハンも単体赤字幅が拡大し、連結でも赤字に転落しました。月末には、オープンな場で「取次事業」40億円超の赤字が改めて注目され、富樫社長も「取次事業再構築が最重要課題」と明言しています。これは「流通改革が必要」なのではなく、今のままでは出版流通網そのものが持たないという危機の表明です。
「紙の本」がさらに高く、作りにくくなった
4月から続いていたナフサ・インク・物流不安が、さらに紙の値上げと供給再編として前面化しています。大王製紙・三菱製紙・日本製紙とそれぞれが15〜20%の値上げを発表。理由として、中東情勢を背景にした原燃料・原材料価格の急騰と供給不安を明示しています。
さらに月末には、日本製紙が新聞・出版向け用紙の生産拠点を6拠点から半減する方針が報じられました。これは単なる合理化ではなく、需要減に対応しながら供給体制も縮小均衡へ入っていることを意味します。「紙の本は高い」という話から一歩進んで、紙を安定供給する基盤そのものが細っていく月だったと言っていいでしょう。
同人誌を含む創作の裾野でも、印刷コスト急増が「作り手にも買い手にもハードルを上げる」話として表面化しました。出版のコスト問題がカルチャー全体の問題に見えるようになった月でもありました。




