書店を「弱い小売業者」ではなく「ネットワーク」として作り直す
諸外国の書店支援の取組を見ている中で、面白い記事を見つけました。
■モロッコ全土に「より強力で、より近代的な」書店ネットワークを構築する
2018年に設立されたばかりの、モロッコ独立書店協会(ALIM)の書店ネットワーク作りと業界インフラ整備についての長文機構です。ちなみに、この協会の会員数は約45名とのこと。
インタビューで紹介されているALIMの取組を整理すると、大きく4つの柱があります。
①在庫・POS等の管理ソフトウェアの導入
➁Libraires du Marocという在庫共有型プラットフォーム
③アラビア語書誌データベースの構築
④書店認証制度と、それに連動した公的支援
また、書店認証制度も制定されています。業界団体(ALIM)が主導し、政府(文化省)が資金と制度的後ろ盾を提供する官民連携モデル、とのこと。
書店同士の在庫をつなぐ。書誌データベースを作る。店舗管理をデジタル化する。その仕組みに参加し、文化拠点として活動する書店を認証し、そこへ公的資金を入れる。
まだ整備途上の仕組みではありますが、個々の書店を単発で支援するのではなく、国の書店網そのものを一つのインフラとして強くしようとしているところが興味深いです。
それぞれの取組を見てみます。
「Libraires du Maroc」という共同プラットフォーム
現在17書店が参加している「Libraires du Maroc」は、読者が本を検索し、近隣のどの書店に在庫があるか確認して注文につなげるためのプラットフォームです。
A書店になくても、近くのB書店にはある。
一店舗ずつでは限られた在庫しか持てませんが、複数の書店をネットワークとして見ることで、地域全体で一つの大きな棚を作ることを目指しています。
ただし、仕組みが完成しているわけではありません。現在、日々の在庫更新まで積極的に行えている書店はまだ一部にとどまり、在庫データをいかに正確かつ継続的に更新するかは大きな課題になっています。
日本でも「書店在庫情報プロジェクト」という取組があり、業界をあげて書店在庫情報の開示に取り組んでいます。
POS、在庫、Webまで一緒に整える
「在庫更新が課題」と書きましたが、「共通サイトを作ったので、あとは各書店で使ってください」で終わらせていないところも興味深い点です。
ALIMはベルギー系IT企業Elesoftと組み、加盟書店への店舗管理ソフト、データベース、Webサイト導入を進めています。店舗側には技術支援だけでなく研修も実施しているとのこと。
目的はECサイトを作ることではなく、在庫管理、発注、顧客管理、Webでの情報発信まで含めて書店業務そのものをデジタル化することです。
共通在庫検索を作るには、まず各店舗に信頼できる在庫データを持ってもらう事が重要です。この店舗DXから一緒に取り組んでいるところは一つのポイントでしょう。

